引力

揺れる碧面を見ていると
ひどく息苦しいのは
美しさの内に命が燃えているから

 

凪いだ茜を仰いで
ふと恐ろしいのは
球面の外に無が垣間見えるから

 

金色の原を風が駆けていく
目を閉じればおいでと声がする

 

いま、朝が死に夜が生まれた
色を失った大地に銀のベールを被せて
ひとつずつ掬い上げるよ

 

ずっと前から探しているのに
もうぼんやりとしか思い出せない
その昔私を暴いた鏡

 

すべては流れながら
たったひとつを求めながら
こぼす涙を誰も知らない