2020-09-05 引力 揺れる碧面を見ているとひどく息苦しいのは美しさの内に命が燃えているから 凪いだ茜を仰いでふと恐ろしいのは球面の外に無が垣間見えるから 金色の原を風が駆けていく目を閉じればおいでと声がする いま、朝が死に夜が生まれた色を失った大地に銀のベールを被せてひとつずつ掬い上げるよ ずっと前から探しているのにもうぼんやりとしか思い出せないその昔私を暴いた鏡 すべては流れながらたったひとつを求めながらこぼす涙を誰も知らない