絶体近づいてはいけないよ
周りはみんなそう言った
そうか、と合点してもう
そのことは忘れて生きてきた
ある日突然その場所は
私の前に姿を現した
かつてムラだったそこに広がる
それはモリと呼ばれていた
私から近づいたのではないよ
お前からやって来た
だから私は悪くないよ
周りは静かなものだった
誰もいないどこにもいない
モリとはなんと淋しいものか
花もない草もない
赤と黒と砂の大地
ぴんと張った糸が切れたら
後はすべて解けていくだけ
争いにのまれた亡者の足跡は
三歩続いて途切れて消えた
燃え尽きた魂は地に染み込み
100年草木も生えないという
これが、と合点してもう
このことは忘れて生きていくのだ