てのひら

都会の隅のマンションの一室に
帰って鍵をかけてみても
独りになることはできなくて

 

私たちがヒトと呼ぶ種族の誰かと
潜在意識のずっと奥のほうで
手を繋いでいるのじゃないかな

 

火曜日はハンバーグと誰かが言ったから
スーパーで合挽き肉が見つからない

 

夜になるとどこかで泣く人がいて
寂しさが半渇きのジーンズのように染み付く

 

右手で過去がやかましく騒ぎ
左手に未来がすやすや眠る
長い時間をかけて編まれていく
絨毯の一行一列

 

わたしを、わたし一人で生きたって
あなたと二人で生きたって
この手のぬくもりは同じということ