再会

きみの瞳がまっすぐ向く先

痛いくらいの引力で

I love you と叫んでいる

どうして私ではないのだろう?

 

あの子のはにかむ無邪気さが

弾丸となって恋心を砕く

好きだよの残響

どこでかけ違えたのだろう?

 

じわりと傷口が広がって

後から痛みがやってくる

木枯しの季節

すべてを脱ぎ捨てなければ

新しい運命のために

 

修羅

進む進む、どんどん進む

過ぎたことに意味はないから

振り返りはしない

 

待って待ってと声がする

大義を前にあまりに弱音だから

振り向きはしない

 

この道が正しいかは関係ない

私の道こそ正義と決めた

 

幾人の正義と交差して

どんなに罵声が飛び交っても

足を止めたら負けてしまう

一瞬で引きずられる

 

付き従うのは御免だ

指導者たれ、道をつくる

それが生きるということ

それが私ということ

開拓者

荒野を往こう
道は知っている

 

立ち塞がるものはすべて
その先に待つ光がつくる影にすぎない

近道はないけれど
恐れることはない

 

荒野を進もう
道なき道を踏む

 

土ぼこりが恐怖を運び
オアシスという幻影を孕む

実体のない希望に
速まる鼓動

 

荒野をねじ伏せよう
足跡こそが道

 

群、村、町
コンクリートの隙間で
乱舞するビルディング

 

風の吹かない夜
草の生えない朝

フリをしている

心に鎧をまとい
体は頑丈を装う

 

あなたを求める一方
一人ぼっちの安寧が恋しい

 

眠ること、食べること
話すこと、聞くこと

 

興味を拾い集めては
つまらないと切り捨てる日々

 

誰もが舞台の上に立ち
勝敗のない空虚な試合を続ける

 

生まれた時から円周の一点で
中心から見ればすべて同じと知りながら
自分だけの正解を探す
フリをしている

メメンとモリ

絶体近づいてはいけないよ

周りはみんなそう言った
そうか、と合点してもう
そのことは忘れて生きてきた

 

ある日突然その場所は
私の前に姿を現した
かつてムラだったそこに広がる
それはモリと呼ばれていた

 

私から近づいたのではないよ
お前からやって来た
だから私は悪くないよ
周りは静かなものだった

 

誰もいないどこにもいない
モリとはなんと淋しいものか
花もない草もない
赤と黒と砂の大地

 

ぴんと張った糸が切れたら
後はすべて解けていくだけ
争いにのまれた亡者の足跡は
三歩続いて途切れて消えた

 

燃え尽きた魂は地に染み込み
100年草木も生えないという
これが、と合点してもう
このことは忘れて生きていくのだ

引力

揺れる碧面を見ていると
ひどく息苦しいのは
美しさの内に命が燃えているから

 

凪いだ茜を仰いで
ふと恐ろしいのは
球面の外に無が垣間見えるから

 

金色の原を風が駆けていく
目を閉じればおいでと声がする

 

いま、朝が死に夜が生まれた
色を失った大地に銀のベールを被せて
ひとつずつ掬い上げるよ

 

ずっと前から探しているのに
もうぼんやりとしか思い出せない
その昔私を暴いた鏡

 

すべては流れながら
たったひとつを求めながら
こぼす涙を誰も知らない